行政書士の仕事は、最終的に依頼者にお渡しするもの(許可証や届出の控え)だけを見ると、どの事務所に頼んでも同じに見えてしまいます。そのため、ホームページでも「最安値」「業界最安水準」といった価格の打ち出しに流れがちです。
ですが、価格だけで選ばれる事務所は、さらに安い事務所が現れたときに選ばれなくなります。値下げを続ければ、一件一件に十分な時間をかけられなくなり、仕事の質も保てません。
では、価格以外で選ばれるには、ホームページで何を伝えればよいのでしょうか。
差は「結果」ではなく「過程」にある
許可が下りるという結果は同じでも、そこに至るまでの過程は事務所ごとに大きく違います。
- 最初の相談で、許可が取れるかどうかをどこまで正確に見通せるか
- 依頼者が集める書類を、どれだけ減らせるか
- 申請までに、どのくらいの期間がかかるか
- 許可を取ったあとの更新や変更まで、見通して案内できるか
依頼者が本当に知りたいのは、この過程の部分です。ホームページでは、依頼すると何が楽になるのかを具体的に書きましょう。「書類の収集から申請まで代行します」だけでなく、「依頼者にご用意いただくのは、この3点だけです」と書けば、違いがはっきり伝わります。
「誰の」「どんな困りごと」に強いのかを言い切る
差を伝えるうえで最も効果があるのは、対象を絞って言い切ることです。
- 「建設業許可に対応しています」より、「一人親方から法人化するときの建設業許可を専門にしています」
- 「相続手続きをお手伝いします」より、「相続人が遠方に住んでいるご家族の相続手続きを、まとめてお引き受けします」
対象を絞ると、依頼が減るように感じるかもしれません。ですが実際には、該当する依頼者にとって「まさに自分のための事務所だ」と感じてもらえるため、選ばれやすくなります。
人柄と考え方を伝える
開業したばかりで経験や実績が少ないうちは、行政書士本人の人柄が大きな差になります。
- 顔写真とあいさつ文を載せる(写真は、明るく清潔感のあるものを)
- なぜこの業務をメインにしているのか、その理由を書く
- 相談のときに大切にしていることを書く
私の経験でも、依頼者から「話しやすそうだったから」「すぐに返事をくれたから」という理由で選んでいただくことは少なくありません。士業の中には、まだ「先生業」の意識が強い事務所もあります。依頼者の立場に立った丁寧さは、それだけで十分な違いになります。
料金は、隠さずに「中身」とセットで見せる
価格競争を避けたいからといって、料金を載せないのは逆効果です。料金が分からないサイトは、比べる段階で候補から外されてしまいます。
大切なのは、料金と一緒にその料金に含まれるものを書くことです。
- 報酬に含まれる作業(書類の収集、役所との事前相談、申請の代行など)
- 別途かかる費用(申請手数料、証明書の取得費用など)
- 追加の費用がかかる場合と、その目安
内容が分かれば、依頼者は「安い事務所」ではなく「納得できる事務所」を選ぶようになります。
根拠のない言葉は使わない
差を伝えようとして、根拠を示せない言葉を使うのは避けましょう。「地域No.1」「実績多数」「必ず許可が取れます」といった表現は、依頼者の信頼を損ねるだけでなく、所属する行政書士会の広告に関する規定に触れるおそれもあります。
具体的な事実(対応している手続きの範囲、相談の進め方、料金の内訳)を積み重ねる方が、ずっと説得力があります。
事例は、依頼者が特定されない形で
違いを伝えるうえで、実際にどのような相談を解決してきたかを紹介する「事例」は、とても説得力のある材料です。ただし、行政書士には守秘義務があります。事例を載せるときは、依頼者が特定されないよう、細心の注意が必要です。
- 氏名、会社名、所在地など、依頼者を特定できる情報は載せない
- 業種や地域も、必要に応じてぼかす(「県内の建設業者様」など)
- 時期や金額など、組み合わせると特定につながる情報に注意する
- 依頼者の声を載せる場合は、必ず掲載の了承を得る
事例で伝えたいのは「この事務所はこういう相談に強い」ということです。依頼者が誰だったかは、伝える必要がありません。「相談の内容」「どこが難しかったか」「どう解決したか」の3点を、一般化した形でまとめると、依頼者を守りながら事務所の強みを伝えることができます。
まとめ:選ばれる理由を、言葉にして載せる
価格以外で選ばれるためには、事務所の中にすでにある強みを、依頼者に伝わる言葉にしてホームページに載せることが必要です。ご自身では当たり前だと思っていることが、依頼者にとっては大きな決め手になることもあります。
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